「マリアの賛美」

2021年6月20日礼拝説教梗概

聖書:ルカの福音書1章39~56節

説教:住友暁伝道師

マリアは天使の受胎告知を受け入れたのち、おそらく4日ほどかけてユダの町にあるザカリヤの家にエリサベツに会いに出かけました。マリアの訪問を受けて、エリサベツの胎内のヨハネが喜んで躍り、イエス様の先駆者としての役割を果たし始めました。エリサベツもまた聖霊を受けて、マリアの胎の実が自分の救い主であることが分かり、自分の孫のような年齢差のマリアの信仰を賛美しました。エリサベツの神の力強い御手の下にへりくだった姿勢に学ばされます。エリサベツの賛美に呼応して、マリアは後世「マニフィカト」と呼ばれる讃歌を歌います。マリアの讃歌はⅠサムエル2章のハンナの歌に重なります。おそらくエリサベツの家に向かう4日間、ハンナに自らを重ねて思い巡らしつつ旅を進めたのでしょう。「マニフィカト」は「大きくする」という原意ですが、転じて「あがめる、ほめたたえる」となりました。マリアは、「私は神様への思いを大きく一杯にします!」と歌い始めます。そして力ある主が、小さい者に目を留めて下さり、為してくださった偉大なわざをほめたたえます。マリアの賛美はそれで終わりませんでした。小さな自分にして下さった偉大な神様のわざを契機として、世界の秩序がひっくり返ることを歌いました。それは、人間が強さだと思っている権力や富、財産、社会的地位などの全てが打ち砕かれ、世の中の価値観に基づく自信や栄光、確信、高ぶりは全て奪い去られる。そしてそれらに代わって、今まで虐げられてきた低い者が高く上げられ、飢えた者が良いもので満たされるという、言わば逆転・転覆の革命的な内容でした。聖霊によって少女マリアに宿った胎の実、イエス様。イエス様によって神様がイスラエルの民と結ばれた救いの約束が実現し、全ての人に救いが及び、やがて革命的な大どんでん返しが起こって神の国が完成するというマリアの賛美。その出来事の背景には過去・現在・未来を貫く「主のあわれみ」があります。マリアはその預言的な出来事を既に起こったものとして賛美しました。マリアの信仰による確信、マリアの心の底から、たましい、霊から湧き上がるように神様をほめたたえる姿勢に賛美のあるべき姿を見ます。神様は、今に生きる小さな私たちにも目を留めて下り、主イエスによって救いを及ぼして下さいました。私たちもまた、マリアと同じように神様への溢れる感謝と喜びをもってマリアと共に主を賛美しましょう。

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